皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!
少し前に読んだ本ですが、記事にしていなかったので、書いておきます。
資産形成に関する本は多いのですが、最終的な資産消化、資産の取り崩しの方法については、それほど類書がないと思います。
著者はこんな人
著者のカン・チュンド氏は、投資信託クリニックの代表でインデックス投資アドバイザーです。
1級FP技能士で、インデックス投資界隈では有名人ですね。
もともとは東京で開業されていたのですが、その後地方都市を転々とされ、オンラインでアドバイザー業務をされています。羨ましいなあ。
本書の構成
はじめに
序章 ~資産を長持ちさせる~
第1章 リタイア近辺、ふたつの症例
第2章 誰にも訪れるXデー(退職の日)
第3章 リタイア前のラスト5年を準備期間に
第4章 準備期間中に投資信託を1本化
第5章 NGな取り崩し法とは?
第6章 簡易版・定率取り崩し
第7章 トータル資産からの定率取り崩し
第8章 お勧めのポートフォリオ4つのパターン
第9章 インフレ率の影響
第10章 リスク資産をグループ化
終章 ~資産にマウントされないように~
おわりに
*「60歳」が間近。
*リタイアまであと「60ヶ月」。
*投資信託の効果的な取り崩し方法を知りたい!
というあなたのニーズに応えます。
という惹句がそそります。
本書のポイント①
一番重要なポイントは、定額取り崩しではなく、定率取り崩しにしなさいというところ。
類書でも定率取り崩しがすすめられるので、そこは定番の手法と言えます。
ただ、資産の取り崩しとか定率取り崩しの手法については米国の研究や書籍から引かれることが多いので、なんとなく老後も資産を運用しながら4%を定率で取り崩せば、資産が長持ちする、あるいはほぼ減らないという記述を目にすることがあります。
でもそれは米国で米国株や米国債券を運用するからであって、そのまま日本には当てはまりません。
ということもあり、著者は3%の定率取り崩しを推奨します。
個人的な実感としても、現在の諸条件のもとで、3%定率消化は可能性が高いと感じます。
4%の定率消化は老後の資産運用に相当リスクを覚悟する必要があるでしょう。
本書のポイント②
もうひとつの重要ポイントは、老後の資産運用はシンプルに纏めるという提案。
具体的にこの投資信託にしておけば間違いないという提案もありますが、それは本書を読んで確認してください。
いろんな投資信託や個別株を、老後に管理しやすく、リバランスが容易になるよう、バランスファンドに集約しましょうという提案です。
もちろん、まずはアセットアロケーションを老後のリスク耐性に沿った形に想定する必要がありますが、リスク資産と非リスク資産を半々とするくらいが一般的な考え方、あとはそれをどうアレンジするかということですね。
本書では、年齢に応じてリスク資産の割合を下げてゆくといった手法ではなく、リスク資産の割合を固定して最後までそれを維持するという手法が提案されます。資産寿命を伸ばして、長生きリスクに備えるわけですね。
個人的にも、ぜひ参考にしたい提案で、有益だと思います。
オススメ度合い ★★★
電子書籍で、あっという間に読めてしまいますが、非常に有益だと思います。
特に、シニア層の方には大いに役に立つのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。