京都ふじわらFP事務所

お金と人生をデザインする。京都の独立系ファイナンシャルプランナーです。

サイコロは記憶しないが、株価はどうか?『確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり』

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!独立系FPの藤原@CFPです。
昨年末にこんな本を読みましたので、備忘を兼ねてご紹介しましょう。

著者はこんな人

吉本佳生氏は、エコノミストで著述家です。『金融工学の悪魔』『金融広告を読め』『スタバではグランデを買え!』などの著作があります。
ネット情報によれば、健康状況がすぐれず、最近は活動されていないようですね。残念です。

本書の構成

はじめに 金融リスクとは?
第1章 金融リスクを確率的に考える理由
第2章 短期投資のリスクシミュレーション
    ――デイトレードをするなら,外貨か,株か?
第3章 リスクとリターンの基本関係
第4章 現実のリスクとリターンの正体
第5章 中長期運用のリスクシミュレーション
第6章 精度を高めた中長期のリスクシミュレーション
おわりに リターンよりリスクが大切

さらに、講談社ブルーバックスの公式HPに載っている惹句が秀逸なので、引用しておきましょう。

「数学が苦手な人ほどカモにされる」投資の世界で、最大の「武器」になるのが確率・統計の基礎知識。日経平均株価には「3年以内に50%下落する」可能性が十分にあり、日経平均連動投信のリスクは米ドルへのFX投資の2倍に達する! 購入する株や投資信託を選ぶとき、「値上がりしそうかどうか」だけを見ていませんか? (ブルーバックス・2012年8月刊)

「想定外の損失」をどう避けるか

・長期投資ほど低リスク

・レバレッジを利かせたFX取引は高リスク

・分散投資ができているETFは低リスク

・複利は単利より有利

・ハイリスクな金融商品ほどハイリターン

……すべて間違っています!

「できるだけ安全確実に儲けたい」と考える人に、
「想定外の巨額損失」は起きやすい!

「数学が苦手な人ほどカモにされる」投資の世界で、
最大の「武器」になるのが確率・統計の基礎知識。

日経平均株価には「3年以内に50%下落する」可能性が十分にあり、
日経平均連動投信のリスクは米ドルへのFX投資の2倍に達する!

購入する株や投資信託を選ぶとき、「値上がりしそうかどうか」だけを見ていませんか?

「預貯金以外で資産運用したい」すべての人、必読。

リスクを簡単に体感できる「特製サイコロ」付き。

本書のポイント①

「サイコロは記憶しないが市場は記憶する」という項があるのですが、ぐっと来ませんか?ワタシは来ました。
いわゆる「ランダム・ウォーク」理論によれば、コイントスをして5回裏が出たとき6回目に何が出るかといえば、そろそろ表が出る確率が高いよねというふうに人は考えることになるのですが、純粋に確率理論的には、やはり1/2になります。過去にどんな目が何度出たのか、コインは覚えていないからです。
でも株価はどうか?
市場参加者は株価のトレンドを意識しながら売買するので、そこには人間の心理が反映されます。上記の場合、トレンドが出ているから、まだまだ裏が出る!と考える人が多くでて、そうなると株価の場合なら実際に裏(実際には上がるとか下がるとか)が出るわけですね。少なくとも短期的にはそんな動き方をします。それがバブルが発生する所以です。
「金融市場に参加する人たちは、サイコロとは異なり、過去の価格変動を覚えていますから、完全なランダム・ウォークにはなりにくいといえます。」と著者は書いています。

オススメ度合い ★★☆

本書の後半は仕組債が確率論的にいかに危険で、買ったお客様はほとんど勝てない、ほとんどが元本を毀損して終わることを理論的に説明する部分で、本書の書かれた2012年当時社会問題化しつつあった仕組債が大きなテーマになっていますが、そこに至るまでの前半部分で統計・確率論でリスクをどう考えるかがわかりやすく説明されています。そこは今読んでも非常に参考になります。

実は「株式投資などの投資は、投資期間が長期になるほど、想定最大損失でみたリスクが高くなる」という言及があり、この部分について書きたかったのですが、いろいろと機微な問題を含むのでさらに勉強したうえで、改めて記事にしたいと思います。新しいNISAへの取り組み方にも影響してくる内容なので、慎重に理論をお浚いしたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。

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