京都ふじわらFP事務所

お金と人生をデザインする。京都の独立系ファイナンシャルプランナーです。

きっとあなたも誤解している?田渕直也著『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!

先日図書館でたまたま目にした本書ですが、金融理論についてわかりやすい書きぶりで定評のある著者の、少し前の(2015年所版)著作です。

たしかに「あるある」な誤解について、何がどう誤解であるかをわかりやすく説明してくれます。目からウロコの内容もありますよ。

著者はこんな人

著者の田渕直也氏は、金融アナリスト、コンサルタントで、株式会社ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役だそうです。

著書が豊富で、『図解でわかるランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて』『世界一やさしい金融工学の本です』『デリバティブのプロが教える金融基礎力養成講座』『確率論的思考』(以上、日本実業出版社)、『カラー図解でわかる金融工学「超」入門』 (サイエンス・アイ新書)などがあります。

特に『図解でわかるランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて』はいずれ入手して読みたいと思っています。

本書の構成

誤解01 プロや学者は金融の全てをわかっている
誤解02 ファンダメンタルズがわかれば相場で勝てる
誤解03 「チャートは全てを語る」あるいは「チャートはオカルトである」
誤解04 為替相場は国力を反映する
誤解05 日本国債は日本国民が買っているので破たんしない
誤解06 巨大投資家が市場を牛耳っている
誤解07 金融政策でデフレは解決できる
誤解08 市場はうまく規制できる
誤解09~12 投資にまつわる4つの致命的な誤解について

本書のポイント

先日バートン・マルキール著の『ウォール街のランダム・ウォーカー』でテクニカル分析を紹介したところですが、本書にもそれに相当する記述があります。

「誤解03 「チャートは全てを語る」あるいは「チャートはオカルトである」」の章ですが、たとえば以下のような記述があります。

著者もチャート分析、テクニカル分析は幻想であり、将来予測には使えないと断言しますが、いくつかの効用はあると述べます。

  1. 過去を分析する際には有効
  2. 市場の変化の兆しを感知し、投資アイディアの仮説をたてるための材料にはなる
  3. 自分自身の投資行動のチェックや制御(損切など)の材料には使える

ということで、チャート分析で予測をすることは不可能なので、やめましょうという結論ですね。

市場変化の兆しを感知するのも、われわれ一般投資家には難しい話なので、個別株投資などの際に塩漬け株を回避するためには使える程度の話になりそうです。

個別株を扱わないインデックス投資家にとっては、ほとんど無用の長物のような気がします。

オススメ度合い ★★★

「為替相場は国力を反映する」とか、「日本国債は日本国民が買っているので破たんしない」のあたりも読み応えがあります。

議論の分かれるテーマでもあり、諸説あるわけですが、相場を眺める際に参考知識として知っておきたいところです。

日本国債は本当にデフォルトしないのでしょうか。

それを考える際に、究極的に立ち上がってくる概念だけど、あまりに漠然とした「信用」なるものの正体はなんでしょうか。

思い当たることがある方は、一読の価値があります。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。

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