京都ふじわらFP事務所

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ファンダメンタル分析に優位性はあるのか?バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』より②

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!

バートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー』は長期投資を旨とするインデックス投資家のバイブルといっても過言でない名著で、なんとなくいろんなところで引用されるので読んだつもりになっていましたが、このたびやっと完読しました。

なにしろ、大著なので内容豊富です。

そこで、今回の読書感想文は何回かに分けてお届けしましょう。という企画の2回目です。

本書のポイント

今回はテーマを絞って、「ファンダメンタル分析に意味はあるのか?」というポイントについて紹介しましょう。

効率的市場仮説においては、ウィーク型、セミストロング型、ストロング型といった段階があると提唱されています。

効率的市場仮説とは、いってみれば、「市場=人類の集合知」と考える仮説ですね。

だから、個別の投資家が全投資家の集合知を超えることはできないというふうな考えかたです。極端に単純化した私見ですけど、言い得て妙ではないかと自負しています!

もう少し詳しく説明すれば、以下のようになります。

効率的市場仮説(こうりつてきしじょうかせつ)
解説
関連カテゴリ: 経済

市場価格は利用可能なすべての情報を完全に反映しているという仮説。米経済学者のファーマが明確に示したことで知られています。効率性には段階があり、ウィーク型はテクニカル分析で用いられる過去の価格、セミストロング型はファンダメンタルズ分析で用いられる公開情報、ストロング型は公開されていないインサイダー情報さえ既に株価に織り込まれているとされます。効率的な市場であれば、資産価格はランダムウォークする(確率的に動く)ことになります。
(出所:三井住友DSアセットマネジメント)www.smd-am.co.jp

その効率的市場仮説のうち、セミストロング型市場やストロング型市場の段階では、特定の企業や業種の株価に関する新たな情報に対しては、市場はすぐさま反応するため、一時的に生じた市場の歪みはたちまち平準化されるので、その歪みを源泉として継続的に利益を得ることはできないということを教えてくれます。

「重要な新情報は定義的にランダムに発生し、予測不能なのだ。それはいくら過去のテクニカルな、あるいはファンダメンタルな情報を研究してみても予見できない。」

マルキール名誉教授はそう断言します。

ファンダメンタル分析の父とも言われるベンジャミン・グレアムもファンダメンタル分析の優位性に懐疑的なコメントを残していると述べ、以下のように結論しています。

「ほとんどの投資家は積極運用タイプの投資信託に投資するよりは、インデックス・ファンドを購入したほうが長期的にはより大きく報われるのだ。」

本日の結論

ということで、「ファンダメンタル分析」にも継続的な優位性はないというのが結論でした。

現実的には、市場には一時的に歪みが生じて、株価に織り込まれるまでに一定の時間を要する事例は存在し、効率的市場が完璧にストロング型には至っていないと感じます。

でも長期的な資産形成においては、覚えておくべき基礎知識だと思います。

オススメ度合い ★★★

間違いなく必読書です。資産運用をお考えの方、実行中の方で未読の方は必ず読んでおいてください。

来年から「新しいNISA」を利用しようとする方も必読です。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。

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