皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!独立系FPの藤原@CFPです。
本日は、ローカルな話題をお送りしましょう。地元密着の最新情報レポートです。
こんなところで外資系高級ホテル建築計画が?
本日、京都市建築審査会の令和5年度第2号 審査請求事件公開口頭審査(@ウイングス京都イベントホール)に参加してきました。といっても、単なる一般参加の傍聴者です。今回の記事は、言ってしまえば単なる備忘録です!
そもそも京都市の某地区は都市計画法で「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」として「第2種中高層住居専用地域」に指定されているので、ホテルは建築できないことになっているところですが、遊休土地の利活用プランとして外資系高級ラグジュアリーホテルの建築計画が持ち上がり、京都市建築審査会が特別に許可を出したことから、地域住民が許可の取り消しを求めて、再審査請求を行っています。
ちなみに筆者は宅建試験合格者なので、建築許可制度については一応專門家といっても過言ではない、かもしれないような気がするけど自信ないな、くらいの微妙な立場です。そもそも住民の静かな住環境を守るために、大きなホテルとかパチンコ屋とかは建てられませんよ、という地区です。そんな原則に例外をもうけて、京都市が特別に許可を出しましょうという話です。
現地を見れば、誰しも違和感を覚えるのに?
実際、現地に行ってみるとわかるのですが、なんでこんなところに大きなホテルが建てられるの?自動車が辛うじてすれ違えるくらいの狭い道路を、路上に飛び出した電柱がさらに圧迫して、実質的な幅員をますます狭くしているような難儀な立地なので、交通動線はどうなるの?こんなところに大きなホテルなんて無理筋では?と誰しも感じるところで、多分、そう感じない人は100人中一人もいないと思います。普通に考えて、相当にチャレンジング(無謀?)な構想です。
そもそも、そんな不便なところに高級ホテルを建てて、採算があうのか?すぐに潰れてしまうのでは?なんてこともCFPとしては心配になります。(不動産運用設計としては、ぎりぎり守備範囲?)
公開口頭審査会でどんな意見が?
そんな案件の公開口頭審査会が本日行われたのでした。住民代表3名と代理人弁護士2名(おなじみの京都第一法律事務所?)が地元住民としての意見を表明し、公開で行われるとのことなので、後学のために参加してみました。どんな話が飛び出すのか、興味津々です。舞台の中央に建築審査会の委員の方々が座り、右手に再審査の請求人の一団(弁護士と地元住民)、下手に処分庁の一団(弁護士と京都市担当者)が座っています。そのあり様は、まるで演劇のようでもあります。
実際のところ、住民のみなさんの主張も、メインは交通問題でした。これは素人目にも明らかなことです。あのあたりの道は古いので、とにかく狭いのです。道路を拡張しようにも、家を退かさないとできないので、現実的にはお手上げ状態の地区です。そのことは、もちろん京都市役所の人々もみんな知っていることです。「あそこに大型高級ホテル?無理無理!無理に決まってる!」という、今日会場にいた京都市職員のみなさんの心の声が漏れ聞こえた気がしたのは、気の所為でしょうか。(気の所為です!)
そもそも建築審査会委員長も乗り気ではないらしい
現に、建築審査会の委員長(髙田光雄 京都美術工芸大学副学長、京都大学名誉教授)が審査会で以下のように言及しています。
「ここにどんな用途をもってきても、何を建てても結局今より良くなるという方向にはいかない、そんな条件の中での案件だというところが違っている。設計によって、それを改善するということは根本的に難しいことだと思う。」
(出所:「京都市建築審査会 令和4年度第10回会議議事録」6頁)
「違っている」というのは、仁和寺での同様案件との違いを述べています。仁和寺案件はホテル建築による地元メリットがあるけど、本件はメリットがないと暗に、というか明確に認めています。住民意見でも言及されていましたが、公的に建築のメリットがないと関係者が認めているのに建築計画は進んでしまうのですね。(凄いなあ。)大手デベロッパーが儲かればそれでいいのか??その儲けは地元には落ちずに、東京に吸い上げられるだけでは??
さらに、
「建築の許可ということで解決するという単純な問題ではないと私自身は理解している。」
(出所:「京都市建築審査会 令和4年度第10回会議議事録」7頁)
とも述べています。そう、「世界は想像を超えて複雑である」(by 渡辺あや)なのです。
処分庁の言い分は?
処分庁(京都市)の担当弁護士は当然に、建築許可は市の裁量範囲内だ主張するわけですが、気になったのは請求者には請求人資格がないとの反論でした。請求人の名義が誰になっているのか、その住所はどこなのかなど、気になります。
審査会からは、交通量増加の問題は仮にホテルではなくマンションが建ったとしても同様では?とか、覚書で事業者にかなり厳しい条件を課していて、仮にホテル建築が完成しても、その後の運用がまずくて地元が困れば、白紙に戻すぞと謳っている部分について、本当にそんな内容が実効性を持つのか甚だ疑問だというのが請求人の主張なので、実効性がないと考える根拠を示せ、などの注文がつきました。
意外にも淡々と進行しました。もっと荒れるのかと思ったのですが、ほぼ時間通りに終了しました。
でも、論点が絞り込まれ、不毛な議論には陥っていないからマシかなあと感じた次第です。以前の住民説明会はかなり険悪なムードだったので、論点整理が進んで良かったと思います。きっと明日の京都新聞にも記事が出るのでしょう。
現実的な落とし所は?(私論)
「そもそも問題」として、周囲の立地や環境からしてあそこに大きなホテルは無理筋だと思います。
現在洛北阪急スクエアとして開業している左京区高野のホテル跡地で、かつてパチンコ屋を開業するというチャレンジング(無謀!)な宣言をして周辺住民の猛反対にあって案の定頓挫した事件があって、京都市民(左京区民?)の失笑をかったものですが、あれほどの無理筋ではないにしても、市民感覚としては、まあ似たようなものです。
でも都会のど真ん中の遊休地なので、客観的に考えても土地の有効活用は図るべきです。京都市中心地に若い人口を呼び戻し、住職近接をすすめるためには住居の建築が妥当な線ですが、高さ制限も厳しいうえに近隣の名刹が嫌がる(見下されるのは嫌だとか)ので背の高い大規模マンションは構想できず、何を構想しても基本的に採算は合わないでしょう。
最終的には採算度外視で、京都市中心地の住職近接のため住環境の整備を行うというのが現実的な落としどころではないでしょうか。とFPではなく、いち京都市民としての私論を述べておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。