京都ふじわらFP事務所

お金と人生をデザインする。京都の独立系ファイナンシャルプランナーです。

【FP実録】これが「住民税ショック」だ!退職後に多額の住民税の通知が来てビックリ!知ってはいてもショックが大きいその理由とありがちな誤解や対策について解説するよ!

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!

今回は以下のような話題をご用意して、みなさまのご機嫌を伺います!時期的にホットな話題じゃないでしょうか。

はじめに

シニア世代などで退職準備をされている方は、退職後の住民税は多額になるので、ショックを受けないようにとか、退職金を使ってしまわずに残しておかないと払えなくて大変なことになるよといったアドバイスを受けることがあると思います。

残念ながらこれらは都市伝説でもなんでもなくて、事実です。

でも少し誤解する要因があるので、混乱しないように、実感と共感を込めてわかりやすく解説したいと思います。

この記事の効能

この記事(約2000文字)を最後まで読むことで、あなたは以下のような知識を得て、退職金や住民税の仕組について理解を深めることができます。また、退職前後の心理的に不安定な時期を穏やかに過ごすことができるでしょう。なんてお得な情報でしょう!

住民税の基本的なしくみ(均等割・所得割など)
住民税の納付方法(普通徴収、特別徴収など)
退職金にかかる住民税はどれくらいか
退職金の「住民税ショック」に関してどんな誤解があるか
「住民税ショック」を緩和する方法

「住民税ショック」は突然に

退職の時期により異なるのですが、例えば年度末の3月に退職して再就職しない場合は、6月頃に自治体から普通徴収の納入通知書が届きます。

・普通徴収は納付書などでの支払です
・特別徴収はいわゆる給与天引きなどのことです

そして、そこに記載された住民税(市町村民税+都道府県民税)の金額を目にして、何かの間違いではないかと感じると思います。

・住民税は、市町村民税と都道府県民税からなります

今は何も仕事をしていなくて、収入もない(少ない)のに、こんな高額な住民税を払えというのか?払えるわけがないじゃないか。なにかの間違いじゃないのか?

そう感じるのが人情というものです。

住民税の基本的な仕組み

でも、住民税の制度を知ると、腑に落ちると思います。

住民税は、前年の所得に応じて所得割(10%)と均等割(5,000円)で計算されるので、前年に勤務していて高額の給与所得があれば、当年の住民税はやはり高額になります。退職前に給与から天引されていたのと同じくらいの金額が、退職後も請求されるわけです。

・住民税=所得割(10%)+均等割(5,000円)

例えば、前年の課税標準額が500万円とすれば、単純計算で約50万円の年税額となりますね。退職後にのんびりしているときに、突然50万円支払うように普通徴収の通知があると、誰しも面食らうのではないでしょうか?

住民税の納付は減免措置もあり

もちろん、住民税は4期ごとに分割納付ができますが、それにしても高額なので、資金繰りから考え直す必要が生じることになったりします。この仕組みを認識していない場合、支払えないケースが発生します。

その場合は、まず自治体の窓口に相談してください。自治体によっては、一定の要件を設けて減免措置が用意されている場合があります。また、分割納付などの相談も可能なようです。

例えば、京都市の場合、以下のように減免基準が設けられています。(初めて知りました)

減免の要件

失業された場合 次の3点すべてに該当する場合,申請によって申請日以後に到来する納期の税額が「免除」又は「5割減額」となります。

・主となる収入源が給与であったが,離職により申請日現在失業中(どこにも雇用されていない方)である。
・申請日現在求職活動を行っている。又は 妊娠,疾病により労働の意志があるにもかかわらず仕事につけない。
・減免対象年度の総所得金額等の合計額が次の額以下である。

   令和3年度分個人市・府民税以降

   【免除】110万円+(扶養数×30万円)以下
   【5割減額】160万円+(扶養数×30万円)以下

   令和2年度分個人市・府民税以前

    【免除】100万円+(扶養数×30万円)以下
   【5割減額】150万円+(扶養数×30万円)以下

京都市:個人市・府民税に係る減免制度について

この住民税ショックに備えて、退職金は使ってしまわずに温存しておくようにアドバイスされるわけですが、ここで以下のような誤解が生じがちです。

よくある誤解① 退職金にかかる住民税が高くてショック?

退職後の住民税ショックについての話題でよくあるのが、住民税ショックとは、退職金から高額な住民税が引かれることでしょ?という誤解です。

大概の場合、これは誤解です。

なぜなら、退職金については税法上非常に優遇されていて、あまり税金がかからないようになっているからです。

退職金については、退職所得控除額(40万円✕勤続年数(20年まで)+70万円✕(勤続年数-20年))を引いて算出し、その1/2の金額に税率をかけて課税退職所得を求めるので、税金は0円の方が大半です。

退職所得控除額=40万円✕勤続年数(20年まで)+70万円✕(勤続年数-20年)

大企業の場合など、高所得で長期間在職の方は退職金が高額になるので、課税が発生しますが、それでも退職金から一括徴収される住民税はそれほど高額にはなりません。(それでも絶対金額としては小さくないですが、相対的な体感としては、ですね)

よくある誤解② 退職の翌年の住民税が高くてショック?

また、退職の次の年について、前年の退職所得が住民税の算定基礎になるため、住民税が高額になるというのも誤解です。

上述したとおり、退職金は別立ての計算ですでに住民税を徴収しているので、翌年に重ねて課税対象とすることはありません。(そんなことされたら、いくらなんでも皆怒りますよね!)

まとめ

退職金に関する住民税の話題は、知らない人は全く知らないし、聞いたことがある人も一部誤解していることも、ありがちなことです。この記事で正確なイメージを持っていただけたのではないでしょうか。

でも住民税が発生して、支払い義務があることは、特別な事情がある場合を除いて動かしようがありません。

住民税をいくら支払っているのか、毎年届く通知書で確認し認識しておくだけでも、心理的なショックは緩和されると思います。サラリーマンなどで給与から天引きされていると、住民税の負担の実感が湧きませんからね。

以上のとおり、退職後に就職しない場合、住民税ショックに対する備えは不可欠です。個別具体的な相談はみなさんのお近くのFPにお願いします。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。

参考

fp-f.net

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