皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!
本日は、たまたま目についたネット上の記事に感化されて、本当にあった怖い話を思い出してしまいましたので、記事にしてみました!
国家公務員の退職手当が大幅カットされた事件
平成27年10月に被用者年金制度の一元化が行われたことは以前に以下の記事で説明したところですが、それ以前の平成24年度に行われていた大改革についても、改めてご紹介してきましょう。
「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律」の施行です。
退職給付の官民均衡を図る観点から行われたものですが、この際にかなり強烈な改革が行われました。
以下のポンチ絵を御覧ください。
(出所:総務省資料 https://www.soumu.go.jp/main_content/000188910.pdf を一部加工)
つまり、従来約2700万円あった退職手当が約400万円カット引き下げられたわけです。約15%の大幅カットです。
人事院の調査による国家公務員の平均退職手当が以前は約2700万円あったことも驚愕ですが、そのカット幅の大きさも驚愕です。
つまり、国家公務員(及び人事院勧告にある程度準拠する地方公務員)の皆さんは、その事実を認識しておく必要があるわけです。生涯賃金が約400万円減額しているわけです。
生涯賃金を左右する大改革だが周知は不足していた
ただそのことについて具体的な認識を持っている方は多くないと思われます。一般的に公務員の組織内において、積極的にアナウンスされないからです。
興味を持って自分で報道内容などを細かくチェックされる方は正確な認識をお持ちかもしれませんが、そうでなければ知らないまま現在に至るというパターンが多いと思います。
例えば以下の記事では、以下のような会話がなされています。面白いのでこの中から引用しておきましょう。
www.tantonet.jp
高山さん:勤務先からの説明はなかったのですか?
田中さん:他の部署はどうかわかりませんが、少なくとも私の部署では、詳細な説明はなかったです。私の部署の人はみんな、知らないんじゃないかなあ……。
(出所:公務員の為のiDeCo特集 リアル公務員がFPに相談 vol.1公務員の年金が減ってるってホントですか?)
著者の実感としても、田中さん(仮名)の反応はリアルにそのとおりだろうと思います。
公務員の世界では、こうした内容を構成員に対して親切にしかるべき部署(人事担当や共済組合担当)の人間が説明するという風習がなくて、定型的な通知文書は機械的に流されるものの、その内容は当然自分で読んで理解すべきものなので、特段説明はしないという建前になっているからです。
民間企業(主に大手)のように人事担当者などが丁寧に説明してくれるといったサービスはないのが一般的だと思います。
その後も退職手当の逓減は続く
しかし、その後の実態はさらに過酷な状態に陥っていることも忘れてはいけないと思います。
人事院の以下の資料によれば、上記平成24年度の大改革以前は約2700万円だった退職手当が、現在では約2200万円にまで減少しているのです。国家公務員の退職手当は確実に逓減しています。
(出所:人事院「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る人事院の見解の概要 令和4年4月21日」を一部加工)
もちろん、民間中小企業に比べれば依然として高待遇であることは間違いないところですが、安定しているはずの国家公務員の世界ですら、この程度の生涯賃金の大改悪は行われてしまうのが現実です。
以前の記事で触れたように、退職手当の大幅カットに加えて、職域部分の年金給付も改悪されていて、年金受給額も減額しているので、ダブルパンチだったわけですが、国家公務員のみなさんも、すでに当時の記憶が薄れているかもしれませんね。
まとめ
ということで、結論としては退職手当や公的年金の減少をカバーするための「じぶん年金」を用意しましょうということですね。
公務員にも平成29年にiDeCoが開放され、掛金の上限が来年から月額2万円に(わずかながら)増額するのも、上記の大改悪の補償のためでもあるということですね。併せて来年から新NISAも始まって、受け皿としては国策の拡充が続いています。こうした施策を上手に活用することは必須だと思います。
もちろん、すでに公務員の世界では職場結婚による完全二馬力の共稼ぎとなることで自衛策も進んでいるので、その場合はよほどのことがない限り、家計のキャッシュフローは破綻しないだろうと思いますが、特に一馬力のご家庭では慎重な準備が必要になると思います。
そのためにわれわれFPがいますので、せいぜいご活用いただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。