(A)公務員や私学教職員の方の年金相談は、年金事務所ではなく、各共済組合に聞かないと具体的な金額などの詳細は教えてもらえません。法律上、公的年金制度は統一されましたが、実務レベルでは従前の共済組合などで管理されているからです。
公的年金は一元化されています
皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!
さて、国家公務員、地方公務員、私学教職員などの勤労者の皆さんは、共済組合に加入されていると思います。
一方で平成27年(2015年)10月に国家公務員共済年金、地方公務員等共済年金、私立学校教職員共済年金が厚生年金に統一されたことは、なんとなくご存知のことじゃないでしょうか。
www.kkr.or.jp
これにより、公務員のみなさんの従来の3階建て年金(職域加算)の高待遇は削減されてしまいましたが、それはまた別の話。
公務員、私学教職員などの公的年金はどこに相談すればいいの?
さて、そろそろリタイア後の生活設計をするために年金がいくら貰えるのか知りたいと思ったときに、どこに相談すべきでしょうか。
公的年金が一元化されて「ワンストップ・サービス」を実現しましたと広報されているので、日本年金機構の以下のような相談窓口に相談すれば良いのではないかと思いませんか?
https://www.nenkin.go.jp/section/guidance/setsumei.html
確かに公式には「ワンストップ・サービス」を実現したので、日本年金機構でも各共済組合でもどちらでも相談できますとアナウンスされているのですが、実は実際の運用は異なります。
試しに日本年金機構のコールセンターに訊ねてみたのですが、公務員、私学教職員などの方は、日本年金機構に照会しても、基礎年金のことは答えられるけど、厚生年金、年金払い退職給付*1の部分は、詳細を把握していないので、各共済組合の担当窓口に連絡するようにアナウンスされるのです。
つまり、現実的には年金事務の実施機関が分かれているので、情報共有がされていないのですね。
餅は餅屋に聞け!
先日、日本FP協会のプロフェッショナルFP研修を受けたのですが、その際にも講師の川瀬尚孝氏から「餅は餅屋に聞け」という説明がありました。
つまり、法制度上の統一はしたけれど、公務員や私学教職員の年金まですべてを日本年金機構で実務的に扱う余裕はない(事務スタッフが増えるわけではない)ので、従来のスタッフを年金組合にそのまま温存して、引き続き実務を取り扱うことになっているので、結局のところ、年金額の詳細は公的年金一元化の前と同じで、各年金組合でないと確かなことはわからないというのが現実なのです。
なので、お近くの年金事務所に相談に行っても、各年金組合に聞いてくださいと門前払いになるということです。
共済組合といっても、実際はどこに聞けばいい?
ということで、各共済組合の窓口に相談することになるのですが、実際にみなさんの共済組合の身近で窓口を担当しているのは、大概が共済組合の支部スタッフで、医療保険関係(短期給付といいます)や福利厚生関係を主に担当しているので、年金(長期給付といいます)に関する相談機能を持っていません。(ただし、東京の本省支部などは本部と支部を兼ねていると思います)
つまり現実的には、各共済組合本部が主催する年金相談という相談会制度を利用することになるのですが、実はこれについても要注意点があり、あまり使い勝手が良くない現実があります。それについては後日別の記事でご紹介しましょう。
本日のまとめ
重要なことなので、本日のまとめとして、同じことを再掲しておきます。
(A)公務員や私学教職員の方の年金相談は、年金事務所ではなく、各共済組合に聞かないと具体的な金額などの詳細は教えてもらえません。
法律上、公的年金制度は統一されましたが、実務レベルでは従前の共済組合などで管理されているからです。
予告編
そもそも相談するまでもなく、「ねんきん定期便」を見れば受給できる公的年金額は一目瞭然じゃないかと思われる方も少なくないでしょう。
でも、「ねんきん定期便」だけを信じて老後の生活設計を描くのは危険なので、これについても、後日記事にしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。
*1:旧3階建て部分についての激変緩和措置として経過的に補償している部分で、「退職等年金給付」とも呼ばれます