京都ふじわらFP事務所

お金と人生をデザインする。京都の独立系ファイナンシャルプランナーです。

(Q) 公務員や私学教職員の年金見込額は誰に聞けば教えてくれるの?「ねんきん定期便」だけでいいの?

(A)まずは「ねんきん定期便」が基礎資料になりますが、各共済(組合)の年金試算サービスを活用しましょう。ただし定型的な一般論での試算額で、イレギュラーなアレンジには対応していないので、条件をどう変えると年金受給額がどう変化するかといったオーダーメイドの試算はFPや社労士に相談しましょう。

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!

以前に以下の記事で、公務員や私学教職員の方に対する年金相談の窓口について記事にしたところですが、今回はその関連情報になります。

fp-f.net

リタイアに向けてセカンドライフの計画を進める際には、公的年金がいくら受給できるのかが一番重要な情報になります。

なかでも公務員や私学教職員のかたは、被用者年金一元化の後も、一般のサラリーマンの方などと年金の制度が違う部分があるので、少し要領が違います。

  • どこの誰に聞けばいいのか?
  • どんな内容の相談ができるの?
  • 「ねんきん定期便」だけ見ればいいの?

などの疑問が生じることになると思います。今回はそんな疑問に答えていきましょう。

まずは「ねんきん定期便」を利用しましょう

まず「ねんきん定期便」が毎年ハガキで郵送されていると思います。ただし、公務員や私学教職員のかたは、日本年金機構ではなく、各共済(組合)から届きますね。

また、35歳、45歳、59歳の節目年齢にはハガキではなく、全期間の年金情報が網羅された「封書」が届きます。

若いうちはなんとなくそんなものかとほっておくのですが、50代に入り、リタイアが目の前に見えだした頃から、リアルに気になりはじめるものです。

特に早期退職などを検討する際には、かなり真剣に読み込む必要が生じます。誤って捨てないようにしましょう(再発行は可能です)。

50歳以上の方は、受給年金見込額が通知されるので、セカンドライフについてリアルな検討が可能になってきます。
https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/20150331-05.html

「ねんきん定期便」の具体的な見方については、記事を改めてポイントを書きたいと思いますので、もう少しお待ち下さい。

日本年金機構の「ねんきんネット」が使えます

日本年金機構が「ねんきんネット」を公開しており、公的年金のシミュレーションも行えます。詳細のシミュレーションも行える仕様のようです。

ただし公式HPには「共済組合加入期間は、試算に制約があります。」との注釈があり、以前に別の記事で書いたように、被用者年金一元化の建前に反して情報共有の不徹底の現実があるようです。いわゆる「一気通貫」なシステムではないようですね。
 

 

 fp-f.net

 


https://www.nenkin.go.jp/n_net/introduction/summary.html:www.nenkin.go.jp

 

厚労省の「公的年金シミュレーター」がテスト稼働中です

厚労省で「公的年金シミュレーター(試験運用中)」が公開されています。公的年金の簡易な試算が可能となっています。
nenkin-shisan.mhlw.go.jp
ただし、これは簡易なものらしく、より詳細な見込額が必要な場合は上記の「ねんきんネット」を利用するように指示があります。

国家公務員向けの「KKR年金情報提供サービス」は現在リニューアル中で使えません

国家公務員の場合は、少し前まで「KKR年金情報提供サービス」が使えたのですが、現時点ではリニューアル中で使えなくなっています。これは困ったことですね。
www.kkr.or.jp
以前は、申請すればかなりわかりやすい試算表が送られてきたものですが、近々にリタイア予定の方はこの便利なサービスが利用できないわけです。

ただし安心してください。代わりに、KKR年金相談ダイヤルに電話して相談するようになっています。従前同様の試算表の作成もしてもらえますが、手紙での申込みが必要です。(昭和?)

この試算表には年金の計算式がすべて明示されているので、これを見ると「経過的職域加算額」も含んだ年金の受取見込額の算定過程が一目瞭然です。

「退職等年金給付」の詳細については、以下の記事を参考にしてください。
 

 fp-f.net

地方公務員の場合は「地共済年金情報Webサイト」に

地方公務員の方の場合は、以下から試算が可能になっています。「地共済年金情報Webサイト」です。
www.chikyosai-nenkin-web.jp
「KKR年金情報提供サービス」と同様のシステムが今も稼働中のようです。

国家公務員共済組合と同様にIDとパスワードを申請してログインする仕様なので、手元にログイン情報が届くまでに2週間程度かかります。余裕を持って申請しましょう。

というか、もっとスムーズにサクサク進めたいところですね!

私学教職員の場合は、共済の相談窓口に連絡を

私学共済の方の場合は、以下のように年金見込額の試算を行っています。
https://www.pmac.shigaku.go.jp/annai/nenkin/kiroku/kiroku_03/index.html

対面、電話、文書での申込を指示されていて、あまりスマートではない印象です。国家公務員共済組合も同様ですけど。

また相談窓口は、私学事業団の共済事業本部と各地のガーデンパレスの共済業務課になっています。

全国の主要都市にある宿泊施設のガーデンパレスは私学事業団が運営しているので、その中に共済業務課という実務部隊が置かれているのですね。
www.pmac.shigaku.go.jp

通常の「年金相談」は一般的な話しかできない

いかがでしょうか、公務員、私学教職員のみなさんは、「ねんきん定期便」の情報に加えて、上記のようなそれぞれの共済(組合)制度の試算システムと組み合わせが考えられるわけです。

ただ、以前に以下の記事に書いたように、「餅は餅屋」方式で、各共済(組合)のシステムを利用するほうが旧3階部分に相当する「経過的職域加算額」を含めて包括的な試算ができると思います。
 

 

 fp-f.net

さらに、各共済(組合)で予約制の年金相談が開催されていますが、一人あたりの時間に限度(だいたい30分程度)があるうえに、一般的な試算額の話しかできないようです。

 

正直、それでは時間が足りないと思いますし、ピンポイントで知りたいことを質問している時間がないのではないでしょうか。

例えば、PCを見ながら、何年前倒しで早期退職するとすれば、年金額がいくら減額になるといったリアルタイムのシミュレーションなどは行っていません。

ということで、正直わざわざ予約までして相談するメリットは少ないように感じます。節目年齢の「ねんきん定期便」+各共済(組合)の年金試算資料+「払込実績通知書」があれば十分でしょう。
 

 

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ケースバイケースの相談はFPにどうぞ。それがFPの得意分野です

ただし、以上の情報はセカンドライフを考えるうえでの基礎情報かつ一般論の世界なので、わたしやわが家のオリジナルなファイナンシャル・ゴールを個別具体的にイメージするなら、FPや社労士などに多少のお金を払ってでも、時間を掛けて腑に落ちるまで相談するほうが、有意義だと思います。

特に、イレギュラーなライフ・プランを考えている場合や、家族状況が特殊な場合などは、必須の手順だと思います。

このあたりのオーダーメイドによる人生100年のキャッシュフローの把握は、年金だけでなく、家計全体のお金の出入りを包括的に俯瞰することができるFP業務の独壇場だと思います。

そして、それは確実にセカンドライフの安心につながる道なのです。ここは、FPの利用を強く推奨したいと思います。

本日のまとめ

重要なことなので、本日のまとめとして、同じことを再掲しておきます。

(A)まずは「ねんきん定期便」が基礎資料になりますが、各共済(組合)の年金試算サービスを活用しましょう。ただし定型的な一般論での試算額で、イレギュラーなアレンジには対応していないので、条件をどう変えると年金受給額がどう変化するかといったオーダーメイドの試算はFPや社労士に相談しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。

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