京都ふじわらFP事務所

お金と人生をデザインする。京都の独立系ファイナンシャルプランナーです。

「10兆円大学ファンド」のペイアウトは2024年度に開始します!ってホントに大丈夫?

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!

本年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。といっても、まだFP業務は始めていないので、お客さんがいないわけですが!

さて、個人的興味および個人投資家の立場から執念深くフォローしている「10兆円大学ファンド」の動静ですが、新情報がありました。
www8.cao.go.jp

そもそも何年度から特定研究大学等への支援を開始するのかという問題が明確になっておらず、いろんな憶測を呼んだのですが、政府見解(専門調査会資料での文科省資料「世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正等のための検討会議の検討状況について」)としては2024年度から開始したい意向のようです。

「世界と伍する研究大学専門調査会」に提出された文科省資料によれば、2024年度(令和6年度)からの各大学へのペイアウトの計画が明示されています。
www8.cao.go.jp

しかし、現実的に考えるとこれはなかなかアクロバティックな計画と言えます。

問題その1

まず、「10兆円大学ファンド」と俗称されながらも、実のところまだ10兆円は集まっていないからです。なにしろ、10兆円ですからね!当然のこと、まだ半分程度しか集まっていません。

ペイアウト開始までに2年あるといえ、そもそも運用の原資が完成していないのです!

2022年度概算要求に残り5兆円の措置を盛り込んだそうですが、果たして目論見通りいくものか?

まあ、政策としては現政権の最重要政策なので、ここは財政投融資でなんとかなるのでしょうね。(単純に凄いなあ…)
www.bloomberg.co.jp

問題その2

仮に2022年度で10兆円のキャッシュが集まったとしても、ペイアウト開始までに2年しかありません。

そもそも、株式65%と債券35%の比率(実際にはオルタナティブも含むから変動しますけど)で市場から株式や債券を買い付けないといけないですよね。

2年間で10兆円分の爆買いが始まります。

そもそも目標とするポートフォリオの完成には10年程度要するという専門家意見もあったわけですが、一気に2年で完成するでしょうか。

日銀による異次元の金融緩和では、コロナ対策もあり2020年に実に7兆円のETF買い入れを行っているので、2年間で10兆円の爆買いも不可能ではなさそうですが、単に買い入れるだけではなく、運用して年利3%(物価上昇率を除いた実質)の運用益を達成する必要があります。

こちらの方がハードルが高いでしょうね。しかも運用益なんて極短期では運任せですからね。

ちなみに、「10兆円大学ファンド」の成功を基礎とするこの「世界と伍する研究大学」の具体的な制度的な立て付けについては、明らかな間違いがいくつかあり、目論見通りにうまく行かないだろうと、個人的には感じていますが、その点については、後日記事をアップしたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。