京都ふじわらFP事務所

お金と人生をデザインする。京都の独立系ファイナンシャルプランナーです。

JST 喜田理事が語る「10兆円大学ファンド」の目論見とは

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!

さて、個人的興味からウォッチを続けている「10兆円大学ファンド」の行方ですが、興味深い記事がありました。

www3.nhk.or.jp

大学ファンドの運用はなぜかJST(科学技術振興機構)に委託されたのですが当然のことながらファンド運用の人材はいないので、さっそく経験者のなかなら優秀な方がスカウトされました。

農林中金の元常務の喜田昌和氏です。
www.jst.go.jp

NHKの取材に対して、喜田運用業務担当理事は以下の通り語っています。

Q:「4.38%」は高い目標では?

A:リターンの水準自体は、許容されたリスク量の範囲で過度に野心的だとは思わない。ただ、トレンドとしてグローバルな成長率は落ち、金利が上がりにくい環境になっているので、従来よりリターンが出にくいことは覚悟している。

キーワードは、“局面に応じてポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)を変えていくこと”。過度にリスクを取ることはないが、慎重になりすぎると運用目標は達成できない。調整局面でのリスクマネジメントが一番重要になるが、逡巡せずにやっていく。
(太線は筆者)

注目ポイントのひとつめは、将来的にこれまでのようなリターンは期待できないと認識していること、ですね。

これはわれわれ一般の投資家も意識しなければならないことです。株価の成長性も鈍化傾向が見込まれています。

2つめは、ポートフォリオを機動的に変える運用を行うこと。

これは意味合いとしてはむしろアセット・アロケーション(資産クラスの配分)のことなのか、アセット・アロケーションもポートフォリオ(具体的な金融商品)も両方含めているのでしょうか。

株式65%:債券35%というアセット・アロケーションを公言しているので、やっぱりポートフォリオのことでしょうか。金融商品の入れ替えは、たしかに必須でしょうが、文意としてはアセット・アロケーションの変更を示唆しているようにも見えます。

ただ、一般の庶民投資家は真似しないほうがいいですね。下手に触っても失敗するこことが多いと言われています。一定のリスク水準を設定したら、年一でリバランスを行うくらいが精々でしょう。

そして、もっと気になるのが以下の件。

Q:運用益を大学側に還元する時期は?

A:5年というのが一つのめど。
このファンドの最大のリスク(懸念)が、大学側に運用益を配分できないこと。また、一度配分が始まったら、来年は出さなくてもいいだろうというのはあり得ない。安定的に配分できる軌道にいかにのせるかが、私のミッションだ。
(太線は筆者)

これ、大丈夫でしょうか。

世界に伍する研究大学(具体的な大学は未定)への運用益3000億円の配分が開始されるのが、5年後とは。これはちょっと初耳でした。

大学ファンド資金運用WGの伊藤委員長はペイアウトを始める時期は「2022年の4月が予定されている」と委員会で発言しているので、随分食い違います。

現実的には喜田氏の発言のほうがリアルだと感じますけどね。いきなり来年度からの配分はまさにタコ足配当みたいなもの。

改めて確認したところ、以下の通りの記述がありました。

運用開始以降 5 年以内の可能な限り早い段階で当面の支出上限額 3,000 億円(実質)の運用益の達成を目指す。
また、許容リスクを踏まえて適切にリスクテイクするとともに、投資実行までに時間を要する資産の特性も考慮しつつ、10 年以内の可能な限り早い段階で長期運用目標を達成するためのポートフォリオ構築を目指す。

「世界と伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドの資金運用の基本的な考え方 (案)」
令和3年7月 総合科学技術・イノベーション会議、世界と伍する研究大学専門調査会、大学ファンド資金運用WG

なんとポートフォリオの完成は10年後!

何しろ、10兆円の巨大ファンドなので、まず10兆円あつめるだけど時間がかかるわけで、確かにそれだけ時間がかかるということですね。

このあたりは素人には計り知れないところがありますが、ポートフォリオの完成は10年後としても、実際の研究大学へのペイアウトは5年後には開始するという感じでしょうか。

いや、それにしても遅すぎるかも。。。伊藤委員長の来年度からペイアウトの発言はあまりに、無理筋としてもねえ。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。