皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!
個人的にウォッチを続けている「10兆円大学ファンド」ですが、突然10兆円という破天荒なスケールで登場する、このファンドの財源は、一体なんだと思いますか?
「10兆円大学ファンド」の財源はアレだった!
すでに新聞記事や各種公的資料から判明したとおり、実は10兆円の内訳は、政府出資が約1兆円、残りは財政投融資から約9兆円を借り入れるという構成なのです。
そう、ファンドの原資のほとんどは財政投融資からの借入れなんですね。
10兆円ものキャッシュがどこから湧いて出たのかと思ったら、要は借金なんですね。
つまり、借金して、株式投資をするというスキームです。
これ、ヤバすぎないですか?個人では絶対にやっちゃダメなやつですよ!
FPの職業倫理としても、お客さんには絶対オススメしない手法。
というか、この手法は、一般的には投機=ギャンブルと呼ばれます。
財務省は当然ながら、いろいろと心配している…
このスキームについては、財政投融資を所掌する財務省が心配しています。
誰しも心配になるスキームだから当然のことです。
その具体的な心配の内容は、財政制度等審議会の財政投融資分科会での議事録や資料に記録されています。
例えば、令和3年12月23日に開催された分科会の資料「大学ファンドについての議論の整理」では、以下のような疑問が提示されています。
科学技術立国の実現という政策の趣旨は理解できるが、財政融資という借入金を元手にリスクの高い資産運用を行い、その運用益から支援するという枠組みが想定通りに機能するのか、懸念がある。
まことにごもっともな心配です。誰しも心配になります。
その上で、財務省が本事業に関与していくべきと述べています。このあたりは、建前と本音が交錯していて、読みどころと言えます。
財務省にそこまで心配されては、文科省の立つ瀬がないのでは?
それはそれとして、財務省はこんなことまで懸念しています。
ただ、3%の事業成長を大学ファンドからの支援要件とすることには、疑問がある。支援の打ち切りを避けるため、大学が事業成長に傾注するようになれば、研究力向上というファンド本来の目的から逸れるのではないか。
また、
大学における一定の自主努力は理解するが、研究者が事業成長に忙殺されるようなことは避けるべき。
とまで心配してくれています。
もちろん、分科会のメンバーに大学教授等が入っているので、当然といえば当然ですが、財務省経由でこんなことまで心配されるところに問題があり、まったく文科省の立場がないわけです。面目丸つぶれですね。。。
しかも、
大学支援の使途については、柔軟な資金であるべき。教員のサポートスタッフの人材育成・体制整備への資金にも使えるようにすべき。
と、全国で数大学が選定される予定の、「国際卓越研究大学(仮)」に注入される資金の使い方にまで、ご心配いただいく始末。
もちろん、いち機関あたり、最大数百億円(年間)もの莫大な資金が投入されれば、単純に考えても、その経費執行の業務だけで膨大な事務作業が発生するわけで、既存の人員では賄えないわけです。
当然、バックオフィスのスタッフの増員は必須となりますが、今のところも文科省でもJSTでも、そこまで手も頭も回らないわけですが、財務省が親切に指示してくれています。。。
とりあえず本日の結論?
個人的に注目している「10兆円大学ファンド」は財政投融資からお金を借りて、ハイリスクな株式主体とする資産運用を行うという、危険なスキームだったことが明らかになりました。
パーソナルファイナンスの専門家として、個人としてのクライアントが同じことを考えていれば、「絶対にやめときなはれ!」と制止する手法です。
でも、パーソナルファイナンスの資産運用に資する観点から、「10兆円大学ファンド」の運用実績は大きな教訓を(反面教師として?)残してくれるはずなので、引き続きウォッチを続けたいと思います。
問題山積の「10兆円大学ファンド」の、明日はどっちだ??
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。
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