京都ふじわらFP事務所

お金と人生をデザインする。京都の独立系ファイナンシャルプランナーです。

「10兆円大学ファンド」の発案者はあの大物議員だった!?

皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!

「10兆円大学ファンド」の発案者は誰か?

個人的にウォッチを続けている「10兆円大学ファンド」の行方ですが、そもそも誰が発案したのか、今まであまり考えたことがなくて、なんとなく昔から文科省あたりで燻っていた懸案事項と思い込んでいました。

でも、実は「10兆円大学ファンド」は純粋な政治案件だったのですね。今の今まで知りませんでした。不明を恥じるばかりです。以下の記事をどうぞ。

www.sentankyo.jp

以上のように、自民党の甘利議員が発案者だったのですね。

この記事を読む限り、部分的には色々と違う気がするところもあるものの、大筋としては間違っていないと感じます。

例えば以下の部分は非常に興味深く、「10兆円大学ファンド」の肝の部分が、甘利氏はじめ周辺のブレーンによって構想されたことを感じさせます。

甘利:日本の大学を知識産業体に変えていくため、遅まきながら、そのために必要な基金を創設します。

先ほど例に挙げた通りハーバード大学など海外の大学の寄付金は日本と比較とするとけた違いです。今から日本の大学がすぐに真似できるのかと考えれば、もう国が用意するしかないということで、10兆円の基金、取り崩しではない運用ファンドを作ろうとしています。

知識産業体として前向きに取り組み、世界と戦うための改革をしていく大学に限って、研究・運営費として支給するのが目的です。

これは途方もないプランですが、私はこれをやらなければ、日本の基礎研究から始まる研究力やそれをマネタイズして実用化する力は、完全に世界で負けてしまうと思います。ですから、説得に説得を重ね、ようやく財務省の了解を得られました。

ただし、赤字国債は原資にしないという大前提で、まずは財投債から4兆円を調達し、おそらく財務省は初めて保有する「金」を売却して4,500億円の原資も作りました。ファンドは5兆円程度から始めて2~3年で10兆円規模に増やし、プロの方々に運用していただきます。

そして年2,000億~2,500億円程度となる見込みの運用益を、改革を志向、実践する大学に投入します。また、地方の大学では、地元のシンクタンクとして地方の繁栄に貢献していくという明確な意思を持ち、そこへ向かっていくところを将来は支援したいと思います。
(出典:https://www.sentankyo.jp/articles/b9c70400-f384-4b92-a794-d4698e73e9a9)(太線は筆者)

なるほど!!

本来欧米の大学のファンドは各大学が自分の裁量で運営しているわけですが、わが国の場合は、大学に任せておいても埒が明かないから、国が直接手を出すよ、という考え方だったわけですね。ものすごい思いきりだと思います。

財務省を説得したのも甘利氏だったわけですか。。。コロナ禍のどさくさ紛れに補正予算を通したというのが筆者の見立てだったのですが、あながちそうでもなく、すでに道筋は作ってあったわけですね。

地方大学は「世界に伍する研究大学」たりうるのか?

地方大学についても触れられているところも興味深くて、助成対象として旧帝大がメインターゲットであることは誰しもわかるとして、地方大学を仮にも「世界に伍する研究大学」として認定する気があるのかというところは、多分大学業界でも話題の的だろうと想像します。

正直、無理筋だろうと思っていましたが、発案者の甘利氏がこう発言している以上、実現するのでしょうね。岸田総理は甘利氏に義理立てして、「10兆円大学ファンド」をプッシュしているとの噂があります。

まあ、こうなってくると「第二運営費交付金という揶揄も無理ないことに思えてくるのですが。

優秀人材を給与で釣れ!?⇨釣れません!

一方でこんな発言もあります。

他には、国立大学が外部から優秀な人材を採用するような場合に、公務員給与の枠を超える給与を支払える体制も作っていきます。
(出典:https://www.sentankyo.jp/articles/b9c70400-f384-4b92-a794-d4698e73e9a9

ということですが。。。これはほぼ無理です。確かに法制度的にはできるようになった、あるいは天の声で無理やりそう仕向けられたのですが、わが国の大学では無理です。

これはメンタリティの問題で、欧米大学や外資系企業とは違い、国立大学では同僚たちの給与が何倍も異なるようなことは、大学人は誰も喜びません。完全に日本人の心性を読み間違えています。

そんなことより、自分の知的興味だけに忠実に、自由度の高い研究ができることを大学人(研究者)は喜ぶのです。そんな環境を創出することこそが肝要なのです。少なくとも、それは給与の多寡ではないのです。

次回に続く

さて、ほんとうは東京新聞の記事が非常に興味深かったので、そちらを書きたかったのですが、今日はこれにて時間切れ、終了とします。

該当の記事だけ、お知らせしておきますね。
www.tokyo-np.co.jp

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。