皆さま、ご安全にお過ごしでしょうか!
みなさんはもうじき新しい株価指数が発表されることをご存知でしょうか?
株価指数とは、取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表すもので、いわゆるTOPIX(東証株価指数)とか日経平均株価指数とかS&P500(スタンダード・アンド・プアーズ500種指数)とかNYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)といったものが有名ですね。
資産運用にご興味のある方は、そういった一般的な株価指数はご存知だと思います。
でも、そこに新しい株価指数が加わるということは、あまり知られていないかもしれません。
この4月の東証の再編によって、東証プライム市場指数、東証スタンダード市場指数、東証グロース市場指数、東証スタンダードTOP20指数、東証グロース市場Core指数などが新設されましたが、それらとは別の考え方の新しい株価指数です。
わたしも、ほんの2、3ヶ月前に知ったところですが、すでに株価指数開発の研究が始まったことは公表されていました。それが、この記事です。
2018年に京都大学経営管理大学院投資研究教育ユニットと東京証券取引所が共同研究に着手していたのです。
www.jpx.co.jp
そして、ついに来月、正式に公表されることになります。情報源は、われわれの業界紙「日本版FPジャーナル」の7月号の「長期投資にふさわしいインデックスを考える」という対談記事です。
www.jafp.or.jp
正式名称は「JPX京都アカデミア株価指数」といい、略称は「京都指数」となるようです。単に京都指数といえば、京都盆地特有の高温多湿な不快指数のことかと思いますが、違いました。。。
指数開発の中心人物は京都大学名誉教授の川北英隆氏ですね。
実は川北先生の講演で、この共同研究の成果が近々公開されることを知ったのですが、続報が出ないのでどうなっているのかと気をもんでいたところ、なんとわれわれの業界団体である日本FP協会経由で最新情報が公開されるという驚くべき展開です。
京都指数は、長期投資に値する株価指数を目指して開発したもので、東証におけるプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3市場の約3800銘柄から京都大学で定量基準(売上高成長率、製品サービス利益率、使用総資本効率性、株主資本効率性、資本構成、海外展開力、等)に基づいて上位200社を選定、ランキングは毎年7月末に実施するものです。成長性、安定性、海外展開力などの基準で絞り込んで、長期投資にふさわしい株価指数を提供するというコンセプトです。
なんといっても、京都大学で銘柄のランキングと選定を行うというのが非常にユニークですね。さすがに国立大学が直接事業を行うことはできないので、おそらくその実務を行うために、学外に「一般社団法人 京都アカデミア投資研究会」なる組織を6月に立ち上げたようです。
おなじみのバックテストでは、リーマンショック直前の2008年7月末以降2022年3月末までの累積投資収益では、TOPIXが102%に対して、京都指数は230%となったそうです。
まあ、こうした新しいファンドや指数に関する話は、基本的に後出しジャンケンなので、バックテストの結果は良好なのが普通なので、あまり期待しすぎるのは禁物です。経験則上はそう考えるのが妥当だと思います。
しかも、川北教授は京都指数はインデックス(指数)でありながら、アクティブな性質を持つと認めています。株式市場の平均をまるごと買うという考え方の、パッシブなインデックスとは基本的に異なるものと考えたほうがいいでしょう。
ただ、国立大学がこうした株価指数を考案して運用するというのは非常に珍しいことだと思います。
また、貯金から投資へと個人資産を誘導する政府施策にも寄与する長期投資向けのインデックス開発であり、一方で国立大学の命運をかけた「10兆円大学ファンド」の本格的な運用が始まるタイミングでもあり、一介の街場のFPとしても今後の動向や成績には、様々な角度から大いに注目したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは今日はこのくらいで。本日もご安全に。